【映画】ZODA
白い鼻毛が見つかると悲しい気持ちになります。
憂鬱なので、面白かった映画の話をしたいと思います。
「ZODA」
ジャングルの中に幻のゾウが棲んでいる、という情報を聞きつけた珍獣ハンター一行が、ジャングルに潜むおそろしい生き物たちに襲われて一人、また一人とやられていく、何の変哲もないいわゆるスタンダードなモンスターパニックもので、そのラインナップも毒ムカデの大群や人喰い軍隊アリ、生命力が無尽蔵な巨大アナコンダなど、ちゃんとグロくてちゃんとおそろしい怪物が揃っています。ムカデや軍隊アリに体中喰い尽くされるのとか想像もしたくない…そんな素直な映画…
…のはずなんですが、日本に輸入された段階で日本語訳スタッフのずのうがこわれてしまったため、吹替が大変なことになっています。
たとえば、
「ここで珍獣さえ見つかれば俺たちはエレファントカシマシって呼ばれないで済むぞ」(そんなことは全く言ってない)
「川口探検隊に先を越されたくないからな!」(そんなことは言ってないし川口浩探検隊も出てこない)
「オ~レ~ オ~レ~ マツケンサ~ン~バ~」(明らかに歌ってない)
「富山の薬売りの薬がカバンに入ってる」(舞台はタイです)
「ファイトー!!いっぱーつ!!」(そもそもそこにセリフがない)
などなど、「映像の権利さえ買っちまえばこっちのもんよ、あとは何やってもいいぜ!!」というスタッフの力強い心意気が感じられます。というか、これのおかげでめちゃくちゃ最高になってしまっています。念のため(???)字幕をつけながら観ましたが、明らかに何も言ってませんでした。どう考えても最高です
難点があるとすれば、そっちが完全に気になりすぎて話の方が全く頭に入らなかったことですね…いや、パニック映画でちゃんとモンスターも怖かったので、それでいいのかもしれない…新しい切り口の映画なので、全人類観てほしい…
ちなみにこの映画DVD、ブックオフの特売棚にあったのを「何となく今日はモンスターものも1個買ってくかー」みたいな軽い感じで手に取ったという巡り合わせで入手したものでした。そしたらこれですよ。人生何が起こるかわからんですね…
【映画】セブンウィッシュ
思い付きで近所の神社の階段*1を駆け上がってみたら3往復で脚と心肺が壊れました。
再起不能になったので、面白かった映画の話をしたいと思います。
「セブンウィッシュ」
いじめられっ子の主人公が、たまたまゴミ捨て場から手に入れた「どんな願いも7つまで叶えてくれる謎のオルゴール」の力と、その代償の「願いをかなえるたびに周りの人間が一人ずつ死ぬ」という呪いに振り回される、という「世にも奇妙な物語」や「笑ゥせぇるすまん」に通じるようなブラックでSF(すこしふしぎ)なお話です。物語と設定の全土から悪い顔して笑ってる藤子不二雄(両方)の香りがします。つまり…最高の映画です。
「いじめっ子がひどい目に遭いますように」
「イケメンが私に夢中になりますように」
「大金持ちになりたい」
「学校中の人気者になりたい」
など、鬱屈した陰キャとしては*2どう考えても共感しかない願い事をひとつずつ叶えてどんどん調子に乗っていくんですが、願い事とその代償が最初から見えている観客サイドからすると「たのむ…目を覚ましてくれ…戻ってこれなくなるぞ…」と心配でハラハラドキドキします。気づいた時にはもう遅い、っていうやつです。たぶん、ぼくが拾ってもだいたい同じようなことになると思いますが…
「誰かが死ぬ」という代償以外にも、「イケメンが夢中になる→ストーカー化する」「学校中の人気者になる→もともとの友人には白い目で見られる」など、わりと箱さんサイドも願い事を歪めるのにノリノリなんですよね。そういうところ悪魔の契約っぽくて好き
「そうなりたい気持ち…わかる…」という共感から「あっ…こいつダメだ…」への呆れと、観ている側のドキドキの移り変わりが、こういう不思議な力で人生を変える系の物語の醍醐味だったりしますよね。破滅までがワンセットといいますか
先述の通りで、「世にも奇妙な物語」や黒い藤子不二雄作品が好きな人な間違いなく楽しめる、最高に楽しくて胸糞な映画なので、全人類観てほしいですね…みんなで苦虫を噛み潰したような顔をしようぜ
以下ネタバレにちょっと触れるので分けておきます。
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【映画】キラー・メイズ
大人の全力を使って遊園地の迷路をフルパワー攻略して遊びたい…
迷路で遊びたいので、面白かった映画の話をしたいと思います。
「キラー・メイズ」
セットはチープな段ボール製の部屋と仕掛けばかりなので製作費としては低予算なのかもしれないんですけど、もうアイデアの一人勝ちです。壁や仕掛けが全部段ボールや紙などの「子供の工作素材」で出来ているのが面白くて、またこの映画の独特の不気味さや狂気を十分に醸し出しています。
この安っぽいハンドメイド感が子供の頃つくったあの記憶を呼び覚まします。みなさんの脳内の子供たちは絶対これ観て「作りてぇ…」って思うはずです(断言)
ちゃんとメッセージ性もストーリーもある映画なんですけど、まずはこの異様で異質なビジュアルワークに抵抗がなければそれに触れることを目的にして視聴しても間違いはないと思います。人はめちゃくちゃ選びますけど、あまりにもオンリーワンすぎるので…全人類観てほしい…オススメです!
*1:外観は2畳くらいしかないんですが
【映画】LUCY ルーシー
「LUCY ルーシー」
…なのですが、この脳の活性化で起こる現象や能力がものすごいことになってて、第一段階の20%開花ですら知らない言語や技能の瞬間習得、以降1段階、大体10%ごとに能力がとんでもねぇインフレを起こして「コンピューターや電子機器ジャック」「強烈なサイコキネシス」「電気信号を読み取ることによる数千km単位の千里眼」「細胞の急速な変異を使った身体変化」など、完全にわけのわからないレベルで暴走していき、最終的には“宇宙”になる(????)という、いやぼくも自分で何言ってるかよくわからないんですけど、だってそうなんだから仕方ないんですよ…そういうのどう考えても最高じゃないですか?能力が暴走していくことのビジュアルもめっちゃ見応えあります。
最初はただのなんてことはない(顔がいいだけで)平凡な学生のルーシーが、ドラッグの作用で脳みそがレベルアップするたびに精神性まで異常になり超然として人格がメチャクチャになっていくのとか、能力に精神まで乗っ取られて完全に暴走しておかしくなっていくのとか、異能力系(特に、人間性に影響を与えるタイプ)のフィクション作品が好きな人にはたまらない作品じゃないかなぁと思います。ぼくは大好きです。
【映画】こんな時に観るホラーだけどホラーじゃない作品
こんにちは。
こんばんは?
こんにちは!!
世間の情勢が日に日に逼迫してきて、外出なども躊躇われて、気が滅入る日が続きますが、皆さんお元気でしょうか。ぼくは映画を観ながらアイスクリームにチョコスプレーをかけるなどきらびやかな生活を送っています。
というわけで(??)せっかくなので、そんな家での待機に向けて、面白かった映画の紹介まとめでもしてみようかなと思った次第です。
ぼくが主にAmazonprimeとDVDで生息しているので、今日現在(2020/04/07)にprime会員特典で観られるもので
「『ホラー』にカテゴライズされそうだけどポップコーンとコーラを抱えながら観られそうな楽しい映画」
からピックアップしてみました。ぼくの趣味です。お付き合いください
「ウォーム・ボディーズ」
世界がゾンビ騒ぎで大変なことになってる中、ゾンビ(この映画のゾンビは一般的なものと違い無為の死者みたいな感じ)の青年が人間の女性に恋をして、その交流を深め、やがて自分たちを、そして世界を変えていくというゾンビミーツガールです。
舞台はゾンビ終末世界なんですけど、焦点が当たっているのが優しくてかわいいゾンビ青年の無垢な胸中なので、これはホラーやパニックものではなくラブストーリーです。
心温かくなりたい時に最高なので、全人類観てほしい
「ナイトウォッチメン」
夜のオフィスに配送の手違いで届けられた棺、それが原因で社内がゾンビパニックに見舞われ、ボンクラ揃いの夜間警備員ががんばって生き延びる!というお話です。この映画ではグール、下級ヴァンパイアという方が近いかもしれません。「十字架」「ニンニク」「木の杭」という弱点は吸血鬼っぽいですね。そのどれもがしょうもない形で使用されるので、将来吸血鬼対策をする予定のある人は参考にしてください。
全編ずっとすっとぼけたノリが最高なので全人類観てほしい
「ビッグフットVSゾンビ」
すごいカッコイイジャケット画像です。見ましたか?確認しましたね?では、この画像の事は忘れてください。圧倒的な特殊メイクとアートワークでお送りする空前のビッグフットVSゾンビVS人間ホラーです。かわいいネコちゃんも横切るよ
この映画に関して念を押して言いますけど文句は受け付けませんからね。最高の映画なので全人類観てください
「キャビン」
ホラーもので「地下室に置かれていたイワクつきの骨董品を触ると、その地に眠っていた化物が目を覚まし、来訪者を襲う」という仕掛けはしばしば出てくると思うんですけど、それを山荘の地下に大量に仕掛けて、どのスイッチが押されるか皆で賭けて遊ぼう!という極限まで趣味の悪い組織のお話です。
最終的に全部ちゃぶ台がひっくり返ってしっちゃかめっちゃかの大乱闘世界のこわいものブラザーズになるのが最高なので、全人類観てほしい
「スイス・アーミー・マン」
無人島で出会った便利な死体メニーの様々な力を使いながら、彼と友情を深め合い故郷を目指しそして自分自身に向き合っていく、ゾンビ×冒険×青春の超新感覚ヒューマンドラマです。設定だけ聞くとトンチキで、実際その描写もちゃんとトンチキなんですけど、一本通った芯の部分はものすごく切なくて暖かい心の物語です。
ハハハと笑いながらじんわりとした気持ちになれる最高の映画なので全人類観てほしい
皆さんの在宅生活が豊かでありますように…
【映画】怪怪怪怪物!
だいぶブログの間が開いてしまいましたが、映画を観てなかったわけではなかったりします。
お久しぶりなので、面白かった映画の話をしたいと思います。
「怪怪怪怪物!」
強烈ないじめがはびこる世紀末な高校で、近所で目撃された人喰い怪物が調子に乗ってるいじめっ子グループに捕えられ、その不死性や生態を徹底的にオモチャにされてるうちに、その怪物の家族に復讐されひどいことになる、というお話です。
タイトルだけだとちょっとおバカなホラーかな?と思ってしまいそうですが、きわめて真剣で深刻な人間スリラーです。怪物なんかより人間の方が怖かったんだ…
まぁーーーとにかくこの高校が胸糞のかたまりで、
・強烈ないじめをおやつ感覚で撒き散らすいじめっ子主犯格グループ
・それを傍観どころかみんなで笑いものにするクラスメイト
・いじめを止めることもせず見て見ぬふりをし、あろうことかいじめられる側にも問題があると責め立てる教師
・いじめられたくないがためにいじめグループの手下になっていじめる側に回ろうとする主人公(これはまぁ、最初のいじめの苛烈さを考えると気持ちもわからないではないんですが)
・かつてひどいいじめのターゲットにされていたことを思わせる、教室の外に机ごと弾かれて放置されている女の子
など、よくぞここまできっちりと詰め込んだな、ってくらいの、胸糞とクズのエレクトリカルパレードが繰り広げられます。このへんはそういう描写苦手な人にはかなりダメージが入るくらい生々しいです。怪物なんかより人間の方が怖かったんだ…
そしてそんないじめっ子グループにつかまった人喰い怪物が、これはまた徹底的にいじめられるんですがその描写もまたえぐい…
相手が不死身であること、それから(日の光を浴びると焼けてしまう)弱点をこちらが握っていることから気が強くなってどんどん行為がエスカレートしていきます…今度は対人ではある程度抑えられていた、見た目にも賑やかなグロ描写がたっぷり詰まっていて精神的ダメージをさらに重ねていきます。人間側があまりにも非道すぎて、ホラー映画のはずが完全に怪物側に心情が動いてしまう始末です。怪物なんかより人間の方が怖かったんだ…
ものすごく胸糞の描写が多いんですけど、ただイヤな描写だけを繰り返すのではなく、ちゃんと全てに意味が込められた誠実で良い映画なので、全人類精神エネルギーがある程度もてている時に観てほしいですね。怪物なんかより人間の方が怖かったんだ…
以下ラストにちょっとだけ触れるので、例によって下に分けておきます。
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【映画】初恋
アゴから流血しましたけど逆にテンションが上がって無敵になりました。
あまり痛くなかったので、面白かった映画の話をしたいと思います。
「初恋」
脳に腫瘍が見つかり余命僅かを宣告された元ボクサーと、借金苦の父親に身売りされて行く果てに薬物中毒になった女の子、という人生ドン詰まった2人が出会い、様々な困難を乗り越えてその絆を深めていく、柔らかな青春ラブストーリー
…に、ヤクザ成分を78%ほど流し込んで攪拌してお出しした結果、たいへんなことになってしまった映画です。
タイトルに偽りはないんです…恋物語なんです…ただ、ヤクザがいっぱい出てきて、血とかもいっぱい出てくるだけなんです…たぶんこれは吊り橋効果とかそういうのなんです…
なんといっても配役がすさまじい…
評判通りというか、ベッキーのおそるべき狂戦士っぷりが鬼気迫っています。バールをガラガラガラ…って地面引きずりながら近づいてくるの最高。あんなの敵に回したくなさすぎる
染谷将太と大森南朋の完全にポンコツで悪事をやるのにあまりにも向いてない三下ムーブもあまりにも良すぎる。ふたりともこういうダメっぽいならず者めちゃくちゃ似合いますね
作品全体はヤクザ映画にガッツリ染まって入るんですけど、実際にこの話の核にあるのは主人公レオとヒロインモニカの、不器用で危ういボーイミーツガールであって、作中、その要素自体は間違いなく中心になって突き進んでいます。初恋というタイトルに偽りなし、です。レオとモニカは二人とも基本的に善良でいい子たちなので、幸せになってほしい…
クライムアクションモノの物騒な味付けと、ボンクラたちの奔走っぷり、そしてその中に据えられた真摯な恋愛描写が素晴らしい最高の映画なので、全人類に観てほしいですね…PG12ですけど…
ユニディは何でもあるな!!(ロケ地への忖度)
以下、ちょーーーっとだけネタバレに触れるので分けておきます
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