こぶのなかのしる

観た映画のこととか、アナログゲームのこととか、色々と与太話して暮らしています

【映画】手紙は憶えている

運動してて体重が変わらないという事は体の構造自体が変化しているとポジティブにとらえても良いものでしょうか。

 

ポジティブにとらえたいので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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手紙は憶えている

 

妻を亡くしたことすら忘れてしまうほどに認知症の進んだ老人が、はるか昔戦時中に自分の家族を殺したナチの兵士に復讐をするために、同じく家族を殺された友人に「偽名を使い足取りを消した復讐対象『ルディ・コランダー』の候補者リスト」「復讐を成し遂げるための段取り」が書かれた一通の手紙を託され、認知症と戦いながらその手紙を頼りに復讐の旅を始める、というちょっと物騒なロードムービーです。

 

認知症の進んだスローな老人が主人公で、彼が一人称の視点ということもあって、その旅路は目的とは裏腹にひどく暢気に始まり進む旅行記の雰囲気を放っています。なんというか、ムンムンに薫る殺気、という感じではないんですよね。道中で出会う子供たちや人々との会話もどこか平和な感じがするのですが…ですが…いや…そんなことはないはずなんです…騙されてはいけない…これはれっきとした復讐劇なんです…あいつは人を殺そうとしている…ちょいちょい旅の目的忘れかけてますけど…
主演のクリストファー・プラマーの「そういった様子」の老人の演技がまたすごく良いんですよ…最近では『ナイブズ・アウト』でも素敵な老紳士を演じてましたね(残念ながらあちらは死にますが)

 

話の筋道が複雑に絡み合うようなサスペンスではなく、主人公の足取りのヨロヨロなおぼつかなさに反してすごく地に足の着いた堅実なストーリーで、90分というコンパクトな長さでまとまっていることも含めて、非常に手軽にサスペンスの楽しみが味わえる(題材は戦時からの復讐なのでちょっと重たいですが)面白くて満足度作品でした。

…この手の物語はどこからどこまで話したらいいものやら…というのが悩みどころではあるんですけど、この映画も例にもれず、物語のエンジンが本格的に始動して以降のことはなかなか言及しづらいというのがもどかしいところです。でもそっからが面白いところなんですよね。もう!サスペンスってば、そういうところあるから!

 (予告編動画もあるんですけど色々と視聴前に観てはいけない感じなので自衛してください)

 


原題は「Remember(思い出す)」なのですが、この邦題の「手紙は憶えている」というのもそのもの直訳ではないながらすごく雰囲気に合ったシンプルで良いタイトルですよね。好き…

 

 

 

 

というわけで、この先は是非みんなの目で確かめてほしい!(ファミ通

そんな全人類に観てほしい復讐ムービーです。人間って怖い!

【映画】ラスト・アクション・ヒーロー

コンビニとかマクドナルドに寄るとハッシュポテトを頼んでしまう奇病にかかりました。

なので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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ラスト・アクション・ヒーロー

 

魔法のチケットの力を借りた映画オタクの少年が、大好きなベッタベタアクション映画「ジャック・スレイター」の中に入り込み、テンションが上がりすぎて映画の中の世界を引っ掻きまわしているうちにドサクサに紛れて現実世界に出て行ってしまった悪役をスレイターと一緒に追いかけていく!

という、アクション映画あるあるを主軸にしたメタネタを最高級の素材と映画愛でお届けする最高のアクションコメディです。

「映画をメタった作品」という世界観の前提があるおかげで、映画オタクの主人公含めて登場人物全員がいわゆるコッテコテの台詞回しや映画あるあるな挙動を詰め込み放題なので、良い意味で「目新しさのないド王道なアクション映画」という下地が有効活用できるんですよね。

なぜなら人類は全員コテコテのB級映画の台詞回しが好きなので…(暴論)
マシンガンと葉巻で武装したやさしいハムレット王子の映画好きすぎる。

 

映画の中では無敵のスレイター(なぜならアーノルドシュワルツェネッガーなので)も、現実世界に降りてくると高所からの飛び降りも失敗する、車のガラス窓を割るだけで結構痛い(でも割れる)、銃を適当に撃ったら撃ったなりに全く当たらない、など、ここでも映画メタと現実世界のギャップが満載されていて面白いんですよね…それでもスレイターはアクション映画の登場人物ゆえに現実世界でもそこそこ頑丈なのがすごい(なぜならアーノルドシュワルツェネッガーなので)



映画の世界ではターミネーター2がスタローン映画になってたり、「『I'll be back』だろ、みんなそのセリフを待ってるんだ」とか「『アマデウス』でサリエリを演じてたからあいつは信用できない」とか、あちこちに1993年当時の名作映画ネタをこれでもかと注ぎ込んであるので、多分映画のことを知っていれば知っているほど、より一層楽しめるのではないかなーと思います。

(ぼくは名作映画ひとつとってもそこそこしか知らないので、その素養不足を勿体なく思います…くやしみ)


ほぼ全盛期ともいえる時期のアーノルドシュワルツェネッガー(この人全盛期超長いですけど)の圧倒的なビジュアルのカッコよさもそうなんですが、敵役のベネディクトもめちゃくちゃ作画が良いんですよね。義眼と紳士的なゲスさがあまりにもカッコいい…しかも吹き替えが小川真司…最高…


物語としてはコメディタッチなんですが、ラストの死にかけたスレイターのシーンと、そのあとのエンディングは普通に相当感動します。映画の世界と現実世界が交差する、という舞台のギミックが、映画全体でうまく使われているのを最後により一層、グッと感じられる素敵な結末です。コメディだから、やっぱりハッピーエンドで終わってくれるのが一番なんですよね。
スレイターは偏屈で短期で粗野だけど、アクション映画の主役だし、心の底からヒーローなんだなぁ…

シュワルツェネッガー作品の中では比較的知名度の低い映画ではありますが、さっくりした気持ちで楽しい映画が観たい!という時におすすめの作品です。
全人類に観てほしい…

 



スレイターの決め台詞「ビッグ・ミステイクだ」日常生活で使いたすぎる(使う機会はない)

 

ラストシーンの具体的な言及をちょっとしますので分けておきます。

 

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【映画】イエスタデイ

 最近キッコーマンのバナナ豆乳がブームです。おいしい。普通にバナナも食べてます。

 

類人猿なので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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「イエスタデイ」

 

売れないミュージシャンの主人公ジャックが、ある日起こった12秒の全世界的停電のあと交通事故から生還すると、世界から「ビートルズ」という存在と記憶が完全に消えていた。ジャックは頭の中の記憶を頼りに、ビートルズの名曲を思い出せるだけどんどん思い出して世間にリリースしていくうちに、どんどん潮流に巻き込まれて大変なことになっていく、という、異世界転生モノ(???)の音楽コメディです。

何って…おれはただ「Let it be」を演奏しただけだが…?(そんなセリフはないです)

 

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ビートルズの曲で武装したジャックがメディアの力を得てトントン拍子に売れていく波及の速さが、このSNS世代特有のスピード感だなーと思います。最近はほんとにおもしろいコンテンツの浸透力がすごいですよね。

主人公ジャックは音楽に対する姿勢自体はとってもピュアで、しかもちゃんと良いヤツなので、「ビートルズの曲を借りて自分が売れていく」ということに罪悪感を覚えながら話は進むのですが、こういうタイプの映画では王道の「降って湧いた幸福に乗っかって調子ぶっこいてしまう」という段階がないんですよね。この罪悪感と純粋さ、善良さが、ジャックのことを好きになってしまい嫌悪感なく話に乗っかれるところじゃないかなーと思います。イヤなやつだとケッ!地獄に堕ちなベイビー!となってしまいますし。根底にはビートルズへの敬意があるんですよね。ジャックにも、この映画にも。
そんな中、記者会見の席の後ろの方で無言で「黄色い潜水艦の模型*1」を掲げてくる人物の登場でジャックも観てるぼくらも「ゾッ…」とします。こわすぎる…

 

 

とはいえ、全体としてはサスペンスやミステリーの側面を持つお話ではないながらあまりネタバレというか内容に言及すると初見の楽しみを著しく損なってしまう作品なので「これ!ここがおすすめなんですよ!」や「ここでとある〇〇が登場することで…!」みたいな匂わせもよろしくないので…ううーん…もう!観て!!(諦め)

 

でも世間の深刻さや汚さ、というものをあまり感じず、ビートルズの曲やその持つパワーでしっかりと牽引してくれるストレートで真摯なコメディなので、なんだか爽やかな映画が観たいな、ってなったときにパッと思い出してもらえたらうれしいです、相棒!

 

あと、ヒロイン役のリリー・ジェームズがめちゃんこかわいい…相棒から恋人になれない絶妙な距離…コメディの王道…しかも顔が良い…最高ですね…

ビートルズ以外にも、どさくさに紛れて「オアシス」「コカコーラ」「タバコ」「ハリーポッター」などのものが消えてます。ぼくは教養がないので、どういう関わりで消えたかはわからないのですが、その辺分かるとニヤリとできそうで、ちょっと残念…もったいない

 

 

 

以下ネタバレではないですが言及したいので分けておきます。

 

*1:この時点ではYellow Submarineはリリースしていない

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【映画・雑記】フィクションとデフォルメのこと

痩せません。どうしてだ(ムシャムシャ)

 

痩せないので、映画とかで普段思っているような個人的なお気持ちの話をしたいと思います。ネガティブな内容ではないです。

 

 

 

 

「デフォルメ」っていう技法があります。

人間とかオブジェクトを記号化、簡略化して表現する手法で、たとえばわかりやすいものだと、ディズニー作品や、アニメなんかはそのデフォルメが強く使われていますよね。ドラえもんとかが写実的に人間を描画してたらなんだか気持ち悪いので(昔々のインターネットではリアルなドラえもんなどが流行っていました…昔々…)画面をスッキリ整理させて伝わりやすくするために、あるいは作品自体の雰囲気に合うようにデフォルメというのは使われます。

 

 

そして…

 

 

この「デフォルメ」という手法は、絵柄だけの話ではなく、現実と比べてある意味ではリアリティを割り切った「正確でない」省略や脚色も、フィクション作品における「デフォルメ」の一つだと思うんですよね。

 

たとえばパッと思いつく範囲だと

 

銃火器や運用の描写」
「カンフー、空手、弓道などの武道」
「アクションシーンなどにおける物理法則」
「警察や政治機関、会社などの組織構造」
「ジョックやナードのスクールカースト
「海外から見た日本文化」

 

などが特にデフォルメされやすい項目として見かけます。もちろん他にもいろいろ。こういうのって普段あまり意識してなくても映画やマンガ、アニメだとわかりやすく記号化して整理されていることが多いですよね。

 

 

そのリアリティを整理してデフォルメをするメリットや理由としてぼくが思いつくのは、

 

・こだわって描写する労力に対するコストパフォーマンスがよくない(たとえばごく一部の専門的な人にしか伝わらない、リアリティに到達するための深化が難しい、とか)

・その部分ばかり突き詰めて作ると話の組み立てやキャラクター造形の邪魔になる

・単純に記号化・抽象化されたことで整理されて、脳のリソースの余計な負担が減ってストーリーに集中しやすくなる

 

…ほかにもいろいろと実用的な効果を狙ってあえてリアリティを省略していることが多いと思ってるので、それを「突っ込みどころ」として作劇の落ち度にしてしまうのは野暮で軽率なのではないかなーと感じるところではあります。

最近だと「半沢直樹」なんか、作劇上のデフォルメがすさまじいことになってますが、あれはもうもはやつっこむこと自体が野暮で、あの激流に身を任せて楽しもうじゃないか、みたいな強い力を感じますよね。極端な例ですが、わかりやすい例でもあります。

 

 

反して、たとえばミリタリー作品や軍記モノにおける武器運用や戦争描写、音楽が題材の作品での楽器の扱いや演奏なんかは、作劇上リアリティが求められることが多いので(そうであった方がより楽しいですしね)、一概に何でもかんでもデフォルメすりゃあいいというものではないのですけども…

 

 

もちろん、メインテーマにかかる部分でなくとも時には「クリエイターの趣味趣向によってここは強烈にこだわりたい」という腕の見せ所でもあるので、「リアリティのある描写がされていないのでそこはマイナスポイント」というネガティブな見方ではなく、

 

「リアリティを感じない部分があるならばそれは作劇上のデフォルメだと割り切る」

「もしメインテーマではない部分での描写や設定に監督やスタッフのこだわりを感じたらそこには惜しみない賛辞を贈る」

 

というゆったりと余裕のある姿勢が映画鑑賞をより楽しく面白くするんじゃないかなーと思います。…ぼくの考え方の一つでしかないんですけど。どうでしょうか…?

 

 

 

 改めて書き出してみると、「そんなのみんな分かってるわ」と言われてしまいそうな内容でもあるんですけど、ぼくは昨今の「フィクション『突っ込みどころ』指摘至上主義」みたいなのがどうにも苦手で、その大きな潮流を見かけてしまうたびに悲しい気持ちになってしまうことから、こんな記事をしたためてみた、という次第です。

 

世の中のフィクション作品に対する視聴者の声がもっとやさしいものであってくれたらいいなぁ、と思います。

 

 

普段書きなれてないのでこういう記事を書くとエネルギー使いますね…

…エネルギーを使う…?カロリーがなくなる…痩せる…?!!

【雑記】ToDoリストを作って遊んでるんです

「今年やりたいなー、達成したいなーということを100個探して、それを普段の指針にしてみる」

というToDoリストを今年のはじめに作り始めまして、達成を狙いながら少しずつリストの項目を埋めていた、という記事を昔書いたのですが、あの後100個項目が揃い、そして少しずつ達成できた項目が増えつつあるので、進捗報告(と、ブログのネタ作り)のために記事にしてみることにしました。

 

 

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【映画】ザ・ハント ナチスに狙われた男

つい先日アップルペンシルを導入したんですがあまりの使いやすさに動揺しています。

まぁ、購入してから不具合や初期不良に振り回されて2週間くらいかかったんですが…

 

アップルペンシルが便利なので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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「ザ・ハント ナチスに狙われた男」

 

ナチス占領下で施設破壊計画を実行したノルウェー工作員のたったひとりの生き残りが、中立国スウェーデンへの国境を目指して必死に、ただただ必死に逃げ延びる…

というだけの話ではあるのですが、その“だけ”があまりにも分厚くて重たい、非常にスリリングな映画です。

 

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冒頭に「彼は無事に生還していた」というハッピーエンドな結果を提示するシーンがあり、そこから過去にさかのぼって逃亡劇が開始されるのですが、語られる肝心の逃亡劇があまりにもえげつなくて、開始5分で敵の攻撃によって足の指が吹っ飛ばされ(逃亡劇なのに)、極寒の厳しい山の中、中盤に差し掛かるかどうかですでにその足が壊死しはじめ(逃亡劇なのに)、お話が後半を通る頃にはまともに歩くことすら全く出来なくなり…(逃亡劇なのに)
と、考え得る限り最悪すぎるベリーハードモードで「ほんとにこれ生還できるの…?」「主人公今までに何回死んでる…?不死身…?」「…もう許して…彼が何をしたというの…(破壊工作をしました」と、ラストシーンから逆算するとどう考えても成功しているはずなのに泣きそうなほどドキドキします。成功する見込みがなさすぎる…どうしてこんなことに…彼が何をしたというの…(破壊工作をしました)
一応各所で出会う占領下の市民たちの協力はかろうじて得られるのですが、それでもハードモードすぎる…彼が何をs(ry

 

戦争が舞台の作品ではあるのですが、戦争の陰鬱さや過酷さ悲惨さよりも、寒冷地の直接的な無慈悲さがまで含めた、切り口の違う悲惨さ、つらさが伝わってくる、魂までも凍えるような強度のある作品でした…すき…元気のあるときに観てくださいね…

 

 

【映画】デス・レース

アマゾンで買ったシャツのサイズを間違えて体に全く入らなかったので泣きながら返品処理と筋トレをしています。

 

悔しかったので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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デス・レース

 

治安が極端に大変なことになってしまった薄汚れた近未来世界。収容が完全にパンクして立ち行かなくなった末に民間に委託されてしまった刑務所では、自由をエサに有望なドライバーを集めてルール無用のバトルカーレースを開催し、それを全世界にオンライン中継して一大興行としていた!

 

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…とまで説明するとあぶらっこすぎて何が何だか分からなくなりますが、要約すると素行の悪いアメリカ人に作らせた、きたないマリオカートです(暴論
武器の使用許可システム(コース中に設置されたパネルを踏むと使用できるようになる)とか完全にマリオカートですよね。コインの代わりに命が散らばるので人は死ぬんですけど…

鋼鉄装甲スーパーカーに機関銃、ナパーム弾、爆炎、スパイク、ステイサム、などなどなんでもござれルール無用の最高に頭の悪いカーアクション!こんなのおとこのこが好きじゃないわけないじゃないですか…基本画面が灰色とこげ茶色なんだよな… 基本画面が灰色とこげ茶色の映画は最高、と相場が決まっているので…

吹っ切れたカーレースがメインコンテンツの映画なのでストーリーなどは副次的なものなんですけど、話が無いわけではなくちゃんと話の筋を通してスッキリと終われるようにはなってるので安心ですね!人はいっぱい死ぬけどね!

あとステイサムはほんとにかっこいいな…生身アクションメインではないのが新鮮ではありますが、イリーガルな役はほんと似合いますね。


レースの中継は1ステージ99ドルですが3ステージまとめての契約だと250ドルでオトクだそうですよ!