こぶのなかのしる

観た映画のこととか、アナログゲームのこととか、色々と与太話して暮らしています

【映画】ピザ!

どうせ外食できないからと、普段買わないレベルの高い缶詰を買ったらおいしくて飛び上がりました。お酒にもあう…

 

ペロンペロンに酔ってるので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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「ピザ!」

インド、チェンナイの貧しいスラム街に住む幼い兄弟が、いつも遊んでいた空き地に突然建ったピザ屋を目の当たりにして、「なんだあのなんかすごい感じの食べ物は…??食べてみたい…!!」と憧れを抱き、1枚のお値段が兄弟2人の月の稼ぎよりはるかに高いそのウワサのピザとやらを食べるために奔走する、というお話です。

 

 

 

インドの貧富激しい格差社会が物語の根底にあるので、ともすれば雰囲気が陰鬱になりやすい地盤だと思うんですけど、この映画は主人公兄弟2人の表情、家族のやさしさがとにかく明るくて、そういう暗いムードはほとんど感じられず、むしろその辺ぶっちぎって金策や生活がドタバタしたコメディタッチにまで突き抜けています。これはほんとうにすごいことですよ。というかもうこの画像の兄弟2人の笑顔がすべてですよね。映画的に映えそうな悪い事やズルいこともせずに、ひたすらに工夫とがんばりで壁を越えようとするのがすごい。応援しかない…

 

そして、周りの人たちも素敵で、

 

一家を支えるしっかり者で根底に我が子への強い愛情を持つおかあさん!

ひたすらにやさしく、兄弟をあたたかく包み込むおばあちゃん!

保釈金が払えずに刑務所の中から出られないおとうさん!(物語には30秒くらいしか出てこない)

アルバイトの手伝いをしてくれるニンジンという名前の気の良いおじさん!(途中で朗らかに横領をやらかして消える)

 

あと、主人公の兄弟は「大きな卵」「小さな卵」と呼ばれて*1、作中でその本名が出てくることはないのですけど、これはもしかしたら「この2人は特定のキャラクターではなく、インドの貧民層の子供そのものなんですよ」というこの映画が示すちょっとしたメッセージなのかもしれないですね(まじめ)

 

 

 

ピザ屋やチンピラ、果てはTV局や政治家まで巻き込んだちょっとした騒動の末にお話は丸く収まっていくんですが(ここでちゃんとハッピーエンドになるのが本当に良い)ラストの兄弟の会話は、まさにこの映画に流れる血液そのもの、という、本当に最高の会話なんですけど、あまりにもよすぎて実際にご自身で観てほしいのでよろしくお願いします。衝撃のラスト!ではなく、王道の畳み方なんですけど、でも…ほんと最高…

貧困層でも富裕層でもインド人でもピザでも石炭でもないのに「ざまーーーみろ!!!」ってなりましたよね 。何に????

 

あたたかい気持ちになれる素敵な映画なので全人類観てほしい!

観賞に際してピザを手元に置くと感情移入に失敗する可能性が非常に高いのでおすすめしません!ポップコーンかポテチか柿ピーでどうぞ

 

 

*1:カラスの卵を獲って食べる癖があることから