こぶのなかのしる

観た映画のこととか、アナログゲームのこととか、色々と与太話して暮らしています

【映画】犬猿

3か月以上…4か月?放置してしまっていたのですが、映画の感想、レビューもこちらのブログに書けたらいいですね。Filmarksが気軽に書けてしまいそちらも便利なのですが、ある程度まとまった文字量だとやっぱりブログの形態の方が取り回しは良さそうです。

 

久しぶりにブログを触ったので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

 

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犬猿」(2018/02/10)

 

「真面目で気弱で卑怯者サラリーマンの弟と裏表がなくてわかりやすいけど品性があまりにも最悪すぎる反社会的な兄」という兄弟

「顔と愛嬌が良いかわりに頭と性格が悪い役者志望の妹と、それに対する全力のコンプレックスを拗らせて性格がグズグズになってしまった姉」という姉妹

その兄弟と姉妹が出会い関わり合っていくことで、歪んだままギリギリの危ういバランスを保ってきた家族関係に変化と亀裂が入っていき、無差別級コンプレックスバトルが巻き起こっていく、というお話です。

 

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とにかく、この脚本の醸し出してくる”人間に対する強烈な悪意”がものすごくて、人の心の弱い所きたない所と、どうすれば観た人の心を抉ることが出来るのか、というやり方がわかりすぎているんですよね…特に妹に強いコンプレックスを抱く”持たざる”姉の性格の歪み方が生々しくて、多少なり身近な他人に対してコンプレックスを持ったことがある人間ならば確実に抉られるであろう心当たりというやつがすごすぎる…脚本書いたのは監督さんなんですけど、兄弟に対してこんなコンプレックスを抱いたことがあるのかもしれません。その拗らせた性格が行動に発現してしまう流れとか、爆発した時のどうしようもなくなる感じとかめちゃくちゃ生々しいんですよ。どうしてこんなことに…

主人公である4人はそれぞれ当て書きなのでは?と思うほど役柄と役者さんがマッチしているんですけど、その中でも窪田正孝くん演じる弟が時々見せる「いつ人を刺すか全くわからない奴だけがする眼差し」がめちゃくちゃ怖いです。普段気弱で真面目な感じのキャラクターなのに、この視線がクローズアップされる瞬間が怖すぎる。ある意味わかりやすく危険な乱暴者であるお兄さんよりもはるかに”闇”があります。顔が良いですしね…(重要)


この映画のストーリーはいわゆる「最終的に雨降って地固まる」系ではあるんですけど、まぁその肝心の雨がいくらなんでも土砂降りすぎなんですよ。このことわざだと普通はもう少しやさしい雨だと思うんですけど、暴風雨にもほどがある。
そして4人がそのすべての感情をむき出しにした爆発を踏まえた上での結末の4人の表情があまりにも最高すぎました。この脚本はほんとうにすごい。是非ここまで観てほしいですね…ラストのラストですけど…

 

以上、人間のきたない所をむき出しにしてぶつけ合うストーリーなので、万人向けとはとてもじゃないけど言えない映画なのですが、ぼくはめちゃくちゃ面白かったので、興味があれば是非このヘドロを浴びてほしいと思います。

 

 


あと、冒頭に白々しい映画のCMみたいなのが入ってて「アマゾンプライムがバグった?!」って思ったんですけど映画本編のわるふざけでした。びっくりした…