【映画】冷たい熱帯魚
なんかたまに無性に水飴ぐるぐる練って食べたくなる時ってありません?
水飴が食べたいので、面白かった映画の話をしたいと思います。
「冷たい熱帯魚」(2011/1/29)R18
熱帯魚店を営む気弱な主人公・社本が、ある時万引きした娘のことを助けてくれた異様に陽気でちょっと押しの強い同業者のおじさん・村田と仕事で付き合いをするようになり、その押せ押せに巻き込まれていくうちにやがて彼の本性である連続殺人鬼、最悪の犯罪に引きずり込まれていく…という、飛び散る血肉の放つ生温かい湿気とむせ返るような悪臭がすさまじい、最悪のサイコサスペンスです。
全部が全部本当ではないにしろ、実話がベースの話らしいです…ウソでしょ…?この世に希望がなさすぎる…
性描写とバイオレンス描写がえげつないためR18です。おっぱいもたくさん出てきます。バイオレンスが苦手な方は勿論、小さなお子様や家族の団欒の席にはおすすめできません。
この映画のまずメインの見どころである、主人公を引きずり込んでくる殺人鬼村田。彼は外面は人の好さそうな陽気なおっちゃんであり、冷たい印象のサイコパスではなく「人間としての品位と倫理」をどこかに捨ててきたような、いわゆる治安と罪の意識のなさが最悪で妙に人間としての体温を感じるような、それだけにより一層本当に目を背けたくなるような、そんなドス黒い邪悪な犯罪者像となっています。最高ですよね…ドス黒い邪悪…
ぼくは最初の陽気なおじちゃんの時点で(前知識関係なく)めちゃくちゃ怖くて、こういう押しの強い人に自分のエリアを踏み荒らされることってあるよなぁ…って思ってたんですけど、まぁちょっと踏み荒らされるとかそれどころですむ話ではなくなってしまった…
この村田を演じるでんでんの演技、特に連続殺人鬼の本性が見え始めて以降の言動態度の切り替わりがあまりにも怖くて、今後どんなにポップなでんでんを見てもこれが脳裏から離れることはないでしょう…
そして、もう一つの見どころである主人公社本。殺人鬼の村田とかかわりあう過程で一発かまして度胸がついてしまった社本のえげつないほどの変化こわすぎる。欲望や感情が抑圧されたような線が細くて気弱なおじさん(しかも…それが吹越満ですよ…?)がスイッチ入りすぎてあんなことに…
なまじこの主人公が共感型の挙動をずっとしてきただけに、この変貌がウッと胸に来るものがあります。「変わってしまった」社本を演じる吹越満があまりにも強すぎるんですよね…
さらにそこから続くラストがあまりにも胸糞悪すぎてつらくて、それまでの激烈にドロドロして悪臭を放つ展開の連続からトドメとしてこれを喰らい、ぼくは椅子から立ち上がることが出来ませんでした。漏らしはしませんでした。大丈夫です。この脚本を作った人には人間の心がない…最高のラストでした…この先は皆さんの目で直接確かめてください。
エログロや趣味の悪さが全開でもちろんR18で間違いない映画なのですが、この作品の本当のグロさは肉体的物質的なグロテスクではなく、人間の醸し出す精神的なバイオレンスとグロテスクだと思います。なので、精神に余裕のある時に鑑賞することをおすすめします…