今日は吉野家でねぎ玉牛丼を食べたので無敵です。
無敵なので、面白かった映画の話をしたいと思います。
「エクス・マキナ」
世界的な検索エンジンを運営するIT企業で、社内抽選に当選し1週間の慰安に招待された主人公ケイレブが、人里離れたド秘境にある社長宅で慰安のついでに新型女性アンドロイドのチューリング・テスト(そのAIが人間的思考を持っているか試すやつです)に参加することになり、そのアンドロイド「エヴァ」と関わっていく、というお話です。
この映画。まず何よりも、ビジュアルが最強に良いのです。そればっかだな!でもビジュアルは大事です。大事ですよね。
新型アンドロイドのエヴァは顔こそ人間そのものであるものの、頭や腕にあちこち機械部分が露出しておりとてもじゃないけど人間とは認識できない造形なのですが、演じているアリシア・ヴィキャンデルの異常なまでの美しさとそのメカ部分のシャープなデザインが、いわゆる「不気味の谷」を棒幅跳びで思い切り飛び越え遥か向こう岸にダイブ出来るくらいに惹き込まれます。それ以外にも身の回りの世話をする旧型アンドロイドのキョウコも(日系の女優さんらしいです)ものすごく顔が良い…このビジュアルの強さが「理想のアンドロイドを作る」という作中の目的と合致しており説得力を大幅に増しているのかな、と思います。
あと社長がヒゲゴリラでつよそう
作中で行われる思考テストの過程で、
「AIは膨大な量の情報(この映画では基礎に検索エンジンのデータベースを使っています)の蓄積によって、人間の思考や感情を擬似的に作り出すことが出来る」
「その一方で、人間が持っている感情、思考、性嗜好なども、同じようにそれまでの人生で感じてきた膨大な外部刺激の蓄積で作り出したものではないのか?」
「ということはつまり、限界まで仕上がったAIと人間の思考ルーチンに大きな違いなどないのではないか?」
という問答が出てきます。
この問答と前提を踏まえて、エヴァの思考や行動の変化を一本の映画として、シンプルに、ビジュアルの美麗さとは裏腹に一本木なストロングスタイルで描写しています。ぼくはアホ故にあまり難しく複雑なことが考えられないので、こういうテーマを絞った映画は吸収しやすくて助かります。
もちろん、その問答やテーマにイマイチ興味がなくても、この圧倒的な美しさと不気味の谷ジャンプを味わうためだけに観てもいい、そんなレベルの映画です。すき
全人類と全AI観てほしいですね…
以下いつものようにラストのネタバレに触れるので分けておきます。
というわけでネタバレです。
ラストシーン、エヴァは社長のネイサンを殺害し、自分を愛してくれた主人公ケイレブを屋敷内に完全に閉じ込めて、人間そのものに見えるようにおめかししてから人間の世界へと旅立っていきます。
つまり、「ロボット三原則を克服し」「自分に関わってくれた人間を裏切って」「自分の目的を自発的に達成する」という事を選んだ、つまり、会話によるチューリングテストの過程で、結局彼女は会話ではなくて自分の判断で人間を裏切る行動で自分が「AIではなく、人間としての思考ができる」ということを証明したわけですよね…
個人的には、施設を出ていく際に、自分が利用し閉じ込めたケイレブに一瞥すらせずに去っていくという所に、人間としてのエゴとAIとしての冷たさの両方を感じて、怖気が立ちました…
AIは現実の世界でもどんどん進化していってますが、その思考ルーチンの作られ方がこの映画で語られている通りなら、と考えるとこわいなぁ…