こぶのなかのしる

観た映画のこととか、アナログゲームのこととか、色々と与太話して暮らしています

【映画】SAYURI

貯金箱を買いました。

 

小銭を貯める決意をしたので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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SAYURI

第二次大戦前後の京都のある花街に身売りされた少女が、芸者として成長しながらそこで出会った顔の良い男(なぜなら顔が渡辺謙なので)に恋をしてしまい、その身分違いの恋と時代の動きに振り回されながら生きていく、というほのかで美しい恋物語です。

 

 

まずとにもかくにも、この映画はビジュアルが美しいんですよね…それを前面に押し出した作品でもある、ということからも、そのすごさ、圧が伝わってきます。

海外の視点と感覚で作られた日本が舞台の映画、という事で、細かい所を挙げてしまえば不思議な所は多く散見されるんでしょうが、あくまでもこの映画はフィクションであり、史実を再現する物語ではないわけです。なので、多少歴史の本当とズレがあったとしても、それが見栄えの良いものであれば、作品としてはひたすらにそれが正義なんですよね…(これはこの映画に限らず、フィクションにおいては全てに言える事だと思っています)つまり、ツッコミなどは野暮、ってことです。

あと、この映画は全体的に陰鬱とした街並みや人々を基本の色調として描写しているんですが、その薄暗さがピンポイントに登場するゲイシャの華やかな美しさをより際立たせています。すごい単純なことなんですけど、ものすごく効果的です。目が釘付けになります。

 

ストーリーも、売れっ子だけどイジワルなエースや面倒見が良くてカッコいい先輩、気難しいけど主人公がストライクを出すお客さんなど定番どころを抑えつつ、イヤなことは起こっても胸糞になりきらない良いバランスで組み立てられていて、この映画のメインディッシュである(とぼくは勝手に思っています)描写の美しさを邪魔せずに、逆に引き立てています。

でもお客さんの前でバチバチやり始めるエースの初桃さんはいかんよ。めっ!

 

 

海外の人々の瞳に移り、彼らが憧れる「和」という文化の美しさや魅力を映して日本に逆輸入させて伝える、そんな最高の映画なので、全日本人に観てほしいですね!

 

 

 

 

どうでもいい話なんですけど、この映画を手に取ったきっかけはタイトルが大好きなゲームの強火の推しキャラの名前と同じだったからです。良い運命だ

【映画】1917 命をかけた伝令

駄菓子屋で4000円分大人買いしたら横にいたちびっこに悪魔を見るような目で見られました。

 

悪魔ではないので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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「1917 命をかけた伝令」

 

第一次大戦中、敵軍の罠を友軍に知らせるための伝令に任命された2人の兵卒が命をかけて戦場を行く勇姿をひたすらに追う、死神を抱きしめて走るロードムービーです。

 

戦争の陰鬱さや凄惨さ、主人公たちや戦場のドラマチックな趨勢や背景、という要素の描写を(存在しないわけではないにせよ)簡略化して、徹底的に「兵卒から見た戦場の緊張感」の生々しさを肌と耳でゴリゴリとあじわう作品だと思います。そこに限定して力を注ぎ切っていることによって、そのシンプルな緊張感は何倍にも、何十倍にも肌に伝わってきます。戦争って怖いね…

 

 

個人的に一番「これはいいなぁ」と思った要素なんですけど、この映画、ほとんど前提知識が要らないんですよね。

特に実在する戦争を取り扱った映画だと、それに応じた基礎知識が求められることもあり、それが準備されてない状態だと100%十全に楽しめないこともあります(もちろんそれは基礎知識がしっかりしてると200%以上最高に楽しめる、という特性の裏返しなんですが)

で、この映画はあくまでも「敵地を潜り抜けて友軍の陣地まで走る兵卒の、その瞬間の視点のみで語られる物語」なので、舞台である第一次大戦のこと、たとえばどのような戦況の推移で…どの国とどの国が…どういった兵器が…などといった前提無くいわゆる手ぶらの状態で映画を観に出かけられる気はします。

戦争ものの映画でこの気軽な手ぶら感はとてもとっつきやすいと思うのですよね。

 

ひたすらにシンプルなスリルを、それのみに集中して味わうことが出来る最高の映画なので、全人類観てほしいですね!

 

 

あと、ぼくが観たのは臨場感音響上映だったのですが、銃撃や爆発の臨場感というか生々しさが最高だったので、もしこの映画を観ようと考えている方がいたら、是非この臨場感音響上映をしているシアターをさがしてみてほしいですね…ぼくは観てる最中数回おしりがピョン!ってなりました。

【映画】空気人形

近所のスーパーでロールちゃんが108円で売ってる日はいい日です。

 

いい日なので、面白かった映画の話をしたいと思います。

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「空気人形」

人生行き詰った男(しかも…板尾創路だぜ…?)に溺愛されていた安物のラブドールが、ある日突然人間の心と自我を手に入れ、主人が留守の時間だけ外の世界に飛び出して少しずつ世の中のことや人間の感情を学んでいき、その過程で外の世界の青年に恋をして、人形ではなく、人間と同じようなひとつの存在としての階段を駆け上がっていく、薄暗い現代のおとぎばなしです。

 

 

まず、とにかくこのラブドールのノゾミちゃんがかわいい。

「人間の形だが人間ではないもの」として100点満点で5000億点のたどたどしくて危なっかしくて、不気味の谷の彼岸此岸を軽脚で往復するような、そんな所作と言動、それからどこか人間離れした佇まい、眼の人形感とか、表情の無機質さとか、そんな総合的なビジュアルが最高です(なぜなら最高なので)

まったく人間の世界と常識を知らないところからはじめて、よちよち歩きの幼児のようにいろいろなことを吸収し学習しながら、アルバイトしてためたお金でおもちゃの指輪を買ったり、かわいい靴を買ったり、ひとりでプリクラ撮ってみたり、ビジュアルの美女っぷりからのギャップがとてもすばらしいのです。それだけでもほんと観てほしいくらい描写に力と性癖があふれています。

いいよね…人外と人間の狭間に生きる亜人外…SUKI

 

 

この映画「人はだれしも欠如しており、お互いはただ世界に存在するだけでその欠けた穴を少しずつ満たしている」というテーマがあって*1、それに合わせていわゆる「欠けた人」がたくさん出てきます。そのどれもが、人生に追い立てられ、心を満たす何かや踏み出すきっかけを待ったまま欠けた心を持て余していて、人の心をどんどんと手に入れていくノゾミちゃんと対比されている気がします。このへん結構おつらいので、ちょっとおしりの筋肉に力を込めておいてもらいたいです…

 「自分は代えのきく代用品なのか?自分でなければいけないのか?」という悩みを、作中の誰もが持っていて、多分ぼくも持っていて、その気持ちが投影されてしまう人には観ていてえぐい刺さり方をしてしまう気がします。ました。

 

ラブドールが主人公という事でイヤンなシーンやアラァな描写も多くあり、決して万人にオススメできる作品ではないのですが、それはそれとしてじわじわぐりぐり情緒に溢れた最高の映画なので、日常に何かと心がすさみがちな全人類と全人形に観てほしいですね!

 

 

 

…でもぼくにはラブドールのおなかに息を吹き込む性癖についての同意はできなかったです… えろい…のか…?

あっ、あと、キモチワルさ全開のものすごく“強い”板尾創路が見られます。これはたいへんなことですよ

 

 

 

 

以下ネタバレに触れつつの内容になるので分けておきます。

 

*1:とぼくは思ってるのですけど

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【映画】ピラニアシャーク

うんこがやわらかいのでなんか毎日スプラトゥーンを連想します。

 

うんこがやわらかいので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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「ピラニアシャーク」

遺伝子改造によって生まれた体長数ミリの超小型サメ*1が、開発した企業の金儲けのために(サメはみんな大好きだからという理由で)愛玩用に売り出され、飽きた端から生活排水を通じて流出し猛烈な勢いで繁殖したサメの大群によってニューヨークが血の海になるというマイクロサメパニック映画です。

 

まずですね…

ラニア要素どこ。

このサメ、話の途中で急に「ピラニアシャーク」呼ばわりされはじめますが、特に生態にピラニア要素とかはないので超小型人食いサメという方が正しいかもしれません。というか、シルエットだけだとサメでもピラニアでもない謎の変な魚なのでした。ピラニアとは…そしてシャークとは… いや、ピラニアシャークという新生物なので、だいじょうぶです(???)

 

そしてこのピラニアシャーク、後半では特に理由なく空を飛びます(???)

まぁ、サメなので空のひとつやふたつ飛びますよね。わかるわかる(???)

 

 

全編いわゆるツッコミどころしかない(こういう作品にツッコミというのも野暮な気はしますが)素晴らしい作品なのですが、イチオシポイントは「ピラニアシャークがニューヨーク中に広がってしまった!こうなったら核爆弾でサメごとニューヨークを吹き飛ばすしかない!」というあまりにもあんまりな政府の判断です。雑すぎて好き

 

 

いろいろとサメの常識を取っ払った結果大変楽しいことになり、大興奮の時間をお届けするとても良い映画なので全人類と全サメに観てほしいですね!

 

 

*1:冒頭では赤血球と同じ大きさです

【映画】ウォーム・ボディーズ

2月は遠征とかDVDとかでお金をいっぱい使ってしまったので、今月はもう無駄遣いはしません!!

 

鋼の意志を固めたので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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ウォーム・ボディーズ

ゾンビ・パンデミックによって人類が滅亡寸前に追いやられた近未来で、日々の情緒と記憶をすべて失い、あてどもなく彷徨う無為の死体と化した主人公R(本名もすべて失ったため頭文字しか知らない)がある日出会った生者のジュリーに恋をし、その不思議な交流を経て人間としての暖かさを取り戻していくボーイミーツガールならぬゾンビミーツガール*1映画です。

 

この作品、形式上はゾンビ映画だしバケモノも出てくる*2んですけど、その実態は「生きる意味を失った男が人との交わりを得て、少しずつ未来とアイデンティティを取り戻していく」というやさしいヒューマンドラマです。ゾンビですけど。

「こんなのゾンビじゃないでしょ!!」と言いたくなる人もいるかもしれないんですけど、ぼくは本物のゾンビは見たことないので…こんな感じのもありかな…
ゾンビパニックが主題の映画でもないので、良いと思います。いわゆるゾンビパンデミックの根源や、その根絶、現在に至るまでの過程などという詳細について語っていない以上、この映画においてゾンビパンデミックそのものはメインに語るものではない、と考えていいのではないかと思います。割り切っていきましょう

 

そして主人公のRが非常に顔が良く、そして言動所作がかわいらしいので、なんとも応援したくなるのがすてきです。レコードを集めて音楽鑑賞をするのが趣味とかなかなかいいじゃないですか

 

 

深いことを考えずに頭をサッパリさせて楽しめる、シンプルに心が温かくなる良い映画なので、全人類と全死体と全骸骨に観てほしいですね!

 

 

 

ネタバレというか結末に触れているので、分けておきたいと思います。

 

 

*1:○○ミーツ○○という表現が好きなのでこの先も使い続けます

*2:ゾンビの成れの果てとして、その上位種の「ガイコツ」とよばれる存在があり、本来のバケモノとしての立ち位置は彼らが担っています

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【映画】ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

先週の話ですが、翌日に焼鳥屋に行く約束をしていたのを完全に忘れて焼き鳥を食べに行きました。

 

どちらもとてもおいしかったので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」

巨万の富を築いた文豪が、一族が集まった85歳の誕生パーティの翌朝に(自分自身を含む)何者かの手によって死んでいるのが見つかり、匿名の依頼を受けた探偵がその事件の真相に挑んでいくという、アウトラインはとてもシンプルでわかりやすい殺人事件ミステリーです。

 

基本の流れは「古畑任三郎」のような、犯人側(そしてある意味では主人公格の看護師マルタ)の犯行計画や実行シーンをあらかじめ描いたうえで探偵がそれをどのように暴いていくのか、という進行なのですが…

話が進んでいくごとに少しずつ判明してくるストーリーとギミックの多層構造、そしてそれをしっかりと繋ぐたくさんの描写と伏線の丁寧さ、それでいて話がややこしくならず一本の太い柱で通るわかりやすさが素晴らしく、普段あまりミステリーに触れず、あたまも残念無念なぼくでもスッと食べることが出来ました。このバランス感覚は正直めちゃくちゃすごいと思うんですよ…

序盤からひとつずつ提示されていく小さなピースと台詞が、終盤に次々と回収されていくので、頭の中で散らばったパズルがバシバシ完成していく感覚がとても気持ち良いです。 

 

探偵役のダニエル・クレイグ、本当に顔が良い…少し斜に構えてクレバーな名探偵、というのにあまりにも合致するナイス・ディテクティブ・アトモスフィアを感じます。薄く浮かべる笑みと蒼白い瞳がたまらない…中盤まで物語の外側で狂言回し的に飄々としてたのに、後半エンジンがかかってくると一気に有能になるのがカッコ良すぎる…

 

それ以外の登場人物も、それぞれ「こういう性格や役回りならこんな外見だな!」というラインを抑えたビジュアルで最高です。

 

 

予告だけ観て三谷幸喜作品みたいなドタバタワッホイ系映画だと勝手に思い込んでいたんですけど、実際はかなり地に足の着いた最高のミステリー映画だったので、いい意味で裏切られました。

ちょっと今激烈に話題になっている作品が多くあり、その陰に少し隠れてしまいかねないとは残念ながら思うのですが、こちらも文句なく最高の映画だったので、全人類と全遺産相続人と全探偵に観てほしいですね…

 

 

 

完全なネタバレはないのですが、核心に関わる部分で好きだったところの話をしたいので分けておきます。

 

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【ボードゲーム】卓上ゲームで心がけてるお話

皆さんボードゲーム遊んでますか?!(挨拶)

ボードゲームをしてる時の心がけの話とかしても良いですか!?いいよ!やったー!ありがとうございます!

 

許可が出たので、ボードゲームを遊ぶ時の話をしたいと思います。

 

以前別の媒体で同じようなことを発したのですけど、せっかくブログも始めたことだし、書き直してみようかな、と思った次第です。


普段ボードゲーム、特にぼくが遊ぶことが多い大小のボードゲーム会という環境で気を付けていることについてちょろちょろと書き連ねてみます。
先に言っておきますけど、本当に大したことは考えていません。大したことが考えられるほど脳と社会性に容量がないので…

 

 


・入りと上がりの挨拶

 

着席時の「よろしくお願いします」、プレイ終了後の「ありがとうございました」それから、勝敗が決まった後の勝利者への「おめでとうございます」、これだけでもあるとないではだいぶ違うと思うんですよね。個人的には超絶大事だと思ってることです。クローズ環境のゲーム会なんかでは省略されることもあるように思いますが、特にオープンの会、もちろん身内でのゲーム会でも付け加えると非常にさわやかではないかなぁとおもいます。

 

 

 


・自分の手番が終わったら「どうぞ」とか

 

これ、なんとなく見落とされがちなことだと思うんですけど、手番が回るタイプのゲームでは、自分の手番が終わったときに一言合図を発する、っていうのがめちゃくちゃ大事で、それが卓上で習慣づけられていると「自分の手番が回ってきたことに気づかず卓が止まる」「前の人の長考で手番が終わったと勘違いして回そうとしてしまう」の二つが防げるのが実利としてあるんですよね。合図めっちゃ大事。中国の兵法書でも合図は大事と書かれていた…たぶん…
長考が常としてある中量級、重量級ゲームなんかだと特に気にしたいなぁと思っています。ぼく自身はあまり重いゲームやんないんですけどね。

 


・他人のプレイングにリアクションする

 

自分のプレイももちろん大事なんですけど、たとえば同卓したプレイヤーの強い一手、良い引きや閃き、駆け引きでの勝敗、ワード系ゲームでの冴えた発想などに軽い一言でも積極的に言及するのってすごい大事なのではないかなぁと、思うわけです。なぜなら自分が他人に反応してもらえると超嬉しいからです。この自分がされたら嬉しいから他人も嬉しいだろうという超短絡理論…是であることも否であることもあると思いますが、これに限って言えば正しいと思ってやってます。
もちろん「相手に媚びろ」とか「ヨイショしろ」っていうことではなくて、野球やってる時のナイスピッチ、ナイスバッティン、ボウリングのストライクでのハイタッチ、Twitterのいいねなんかをするような、そういう気軽な感じで一言添えると楽しいんではないかなぁと、思うのですよね。

 


・便宜を図ってもらったときの一言

これも実は見落としがちなんですけど、たとえばコマ置き場から一つチップを取ってもらったり逆に回収してもらったときに「どうも」とか「ありがとうございます」とか「ヒュッwww」とかなんとなく一言添えるだけでもなんか卓の滑らかさが上がる気がしませんか。まぁ、ヒュッwwwはちょっとダメだと思いますが…

 

 


こうやって並べてみると「ほんとに大したことしてねぇな!!!!」
という感です。社会人というか人として普通以前のことばかりでわざわざ書き立てるほどのことではなかったのかもしれない…
でも自分で心掛けたい事の備忘録としてここに建て逃げしておきます。ぼくはこういうのを明記して自分に刻まないとできないのですよね…

 


愚考ながら、みなさんが何かをする上でのひとつの参考になれば幸いです。
ぶちかましていきましょう