思い付きで近所の神社の階段*1を駆け上がってみたら3往復で脚と心肺が壊れました。
再起不能になったので、面白かった映画の話をしたいと思います。
「セブンウィッシュ」
いじめられっ子の主人公が、たまたまゴミ捨て場から手に入れた「どんな願いも7つまで叶えてくれる謎のオルゴール」の力と、その代償の「願いをかなえるたびに周りの人間が一人ずつ死ぬ」という呪いに振り回される、という「世にも奇妙な物語」や「笑ゥせぇるすまん」に通じるようなブラックでSF(すこしふしぎ)なお話です。物語と設定の全土から悪い顔して笑ってる藤子不二雄(両方)の香りがします。つまり…最高の映画です。
「いじめっ子がひどい目に遭いますように」
「イケメンが私に夢中になりますように」
「大金持ちになりたい」
「学校中の人気者になりたい」
など、鬱屈した陰キャとしては*2どう考えても共感しかない願い事をひとつずつ叶えてどんどん調子に乗っていくんですが、願い事とその代償が最初から見えている観客サイドからすると「たのむ…目を覚ましてくれ…戻ってこれなくなるぞ…」と心配でハラハラドキドキします。気づいた時にはもう遅い、っていうやつです。たぶん、ぼくが拾ってもだいたい同じようなことになると思いますが…
「誰かが死ぬ」という代償以外にも、「イケメンが夢中になる→ストーカー化する」「学校中の人気者になる→もともとの友人には白い目で見られる」など、わりと箱さんサイドも願い事を歪めるのにノリノリなんですよね。そういうところ悪魔の契約っぽくて好き
「そうなりたい気持ち…わかる…」という共感から「あっ…こいつダメだ…」への呆れと、観ている側のドキドキの移り変わりが、こういう不思議な力で人生を変える系の物語の醍醐味だったりしますよね。破滅までがワンセットといいますか
先述の通りで、「世にも奇妙な物語」や黒い藤子不二雄作品が好きな人な間違いなく楽しめる、最高に楽しくて胸糞な映画なので、全人類観てほしいですね…みんなで苦虫を噛み潰したような顔をしようぜ
以下ネタバレにちょっと触れるので分けておきます。
というわけでネタバレなので分けました(えらいので)
物語の最後、絶望した主人公が7つ目の願い事として「この箱を手に入れる前の朝に時間を巻き戻してほしい」と望み、その結果全ての時間を巻き戻して、物語の間優しくしてくれ、協力してくれた友人ライアンに愛の告白(キス)をして、ハッピーエンド…
…まぁ、なんてそんな都合のいいこと許されるはずもなく、7つ目の願いの代償として無慈悲に車にふっとばされて死んでしまうのですが(無慈悲すぎる)、後味自体は良くないにしても「ああ、やっぱりどうあがいても箱のルールと呪いは適用されるのね」という納得と妙な安心感と物語への信頼感、例の藤子不二雄っぽさ、世にも奇妙っぽさがあります。
うまいこと物語が終わったね!みたいなホッとした感を与えて油断したところにちゃんとルールにのっとった一撃を加えてくるタイミングはうまいなぁ…と思います。ぼくはまんまと安心した瞬間を狙われました。