こぶのなかのしる

観た映画のこととか、アナログゲームのこととか、色々と与太話して暮らしています

【映画】ミラクル・ニール!

高濃度カカオ、何%まで食べられますか?

 

ぼくは72%くらいのやつが好きなので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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「ミラクル・ニール!」

地球人類に生きる価値があるかを議論する「銀河評議会」たちが、その滅亡前に救済措置として「地球人からランダムに1人選んで全能の力を与え、その力をどう使うかで地球の運命を決める」というテストを開始し、対象として選ばれた冴えない教師がその非常に厄介で融通の利かない全能の力に振り回されて色々ととんでもないトラブルや騒動を巻き起こしていくという、超能力ドタバタ異能ロデオ映画です。

 

この全能の力、というのが本当にもう厄介の極みで、たとえば「ウイスキーを最高級のものにしろ!」と願うとビンごと酒屋に突撃してそのビンが酒を誘拐しようとする(???)、「友人の恋愛よ成就しろ!」と願うとその友人の虜になった相手が崇拝のあまり新しい宗教を作って狂信してくる(???)、など悪意と拡大解釈、圧倒的な融通の利かなさを炸裂させた人騒がせな叶え方ばかりして主人公ニールをガンガンと振り回していきます。この適当に叶う願い事がまず面白すぎる。悪魔の願い事みたいですね。

 

しょーもない小物だけど善人で憎めない主人公ニール、優しくて強くて作画がキュートなヒロインキャサリン、そして非の打ち所がない完全なクズの敵役グラント、中盤言葉を手に入れてからは完全に強い相棒キャラ化する愛犬デニスと、複雑でなく人間関係がまとまっていて、コメディとしてコンパクトで助かります(アホなので)

特に悪役のグラント、登場1秒目ですでにクズ、結末に至るまで1秒もクズじゃない瞬間がないという素晴らしい悪役っぷりを発揮していますが、それでも観ていてイヤな気分にならないさじ加減、すごくないですか…?すごいよね

 

 

映画が終わった後のいわゆる読後感というか、結末の後味もとても良く(ひとつ気がかりなことは残りますが)作中の絵面のとっ散らかり方とは裏腹にきれいにまとまった素敵なコメディだと思います。

良い映画なので全人類と全喋るイヌと全銀河評議会に観てほしいですね!

 

 

 

ここからは例によってネタバレに触れつつの感想なので分けておきます。

 

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【映画】スーサイド・ショップ

最近Miliというバンド(音楽ユニット?)がお気に入りです。Meatball Submarineめちゃくちゃ好きです。

 

Miliが好きになったので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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「スーサイド・ショップ」

国民すべてが絶望的な空気に包まれる中で法律により自殺が禁止され、罰金や違反切符が切られるようになった国(???)で、営業許可証の下で代々「自殺用品店」を営む家族。先天的に異様な楽天精神を持つ息子が生まれてしまったことから、その歯車が少しずつ狂いだしていく、というデスジョーク満載の希死念慮をミュージカル的な要素を絡めつつお届けするコメディ・カートゥーン映画です。

 

ちょっとクセがあり、どことなく陰鬱で毒々しいカートゥーンな絵柄とミュージカルの動きが、コミカルとブラックの両端をしっかりと掴まえていて、まさしくこのお話にピッタリ、です。動きも多くて単純に観てるだけでも楽しめます。

 

「自殺願望」と「雑貨屋」という本来そんなに結びつかないであろう2つの要素が生み出す「商品のおススメをしながらカジュアルに自殺を売る」という物語の基盤が最高です。

「自殺のバレンタインセール」「30%オフ」「配達に行ってくる」「自分へのプレゼント用の包装」などなど、どでかいパワーワードとパワー概念が洪水のように押し寄せてきます。こんなお店がしっかりお客さんが入って繁盛している、という描写も明るい雰囲気ながら絶望感があって素敵…SUKI…

自殺は違法行為(犯罪ではないらしい)なので、街に自殺者が転がってると警察がやってきて違反切符を切る、というのが好き。絵面がひどい

ただ、この映画でも「死」が軽く扱われるわけでは決してなく、それを幇助していることに対する家族の罪悪感や、自殺をしようとする人々の躊躇いや苦しみはしっかりと、濃く描写されています。ブラックジョーク満載ながら「死」に対してはしっかりと向き合った作品だなぁ、と思います。

 

わりとぼくも定期的に、自殺願望とまではいかないんですけどかるーめの希死念慮が頭を過ることが多いので「一度きりの人生、思い通りに死なないと!」とか「寿命が1年縮まっておめでとう!」とかのおもしろブラックだけどどこか心を突いてくる言葉がしみわたります(しみわたってる場合じゃないんですけど)

 

 

死に対して色々思う所があったり、いわゆる創作、フィクション、コンテンツでの「死」という概念に対して愛着があるような人には激しく刺さる作品だと思います。

良い映画なので全人類と全死者と全希死念慮愛好家に観てほしいですね!

 

 

以下少しネタバレなので例によって分けておきます。

 

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【映画】グリーン・インフェルノ

とんかつかお寿司か牛丼かピザ食べたいなーとおもってたんですけど、気づいたらラーメンを食べていました。

 

自分でもよくわからないので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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グリーン・インフェルノ

森林伐採開発の阻止というイキり活動の帰路で飛行機の墜落に見舞われ人喰い族の縄張りに投げ出された大学の環境保護活動サークルの一同が、彼らに捕えられ、次々に選別されパクパクと美味しくいただかれてしまい、仲間同士でその本性をあらわにしながらしぶとく生き残ろうと手を尽くす、新感覚わくわく食レポ映画です。

 

【今回のお品書き】

●仲間のお刺身

●仲間の生き血ジュース

●仲間の目玉の踊り食い

●仲間の香草焼き

●仲間シチュー

 

などなど、愉快なメニューがたくさん!思わずおなかがすいちゃいますね!(??)

 

人間の姿と生活をしているにもかかわらず 「同じ人の姿なのに話も感情も常識も一切通じない」というのがとにかくおそろしい。素材の新鮮さを保つため生きたまま保管され、同じく生きたままパクパクされてしまうのですが、彼らにとって人喰いは残虐な行為でもなんでもなくただの日常のルーチンなので、そこに悪意や慈悲はないんですよね。こええ

 

社会活動サークルのリーダーが、恋人の肉を食べてしまったことに気づいて自殺した女の子の死体をネタにして突然自慰行為をはじめ「いまはやれることをするんだ!」みたいに言いだすシーンがあるんですが、こういうのリーダーが完全にサイコで素晴らしいですね、ホラーの登場人物にこういうクズが一人いるだけでも、物語がビシっとしまります(歪んだ考え方)

 

物理的肉体的なものだけでなく、精神的なグロシーンが目白押し、それこそ捕獲された中盤以降は永遠に続くのですが、このへんのグロ描写にある程度耐性があるようでしたら、「話の通じない知的生命体が一番怖い」というのが非常に楽しめるホラーです。

良い映画なので全人類と全食人愛好家観てほしいですね。

 

 

以下、例によってネタバレに触れるので分けておきます。

 

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サメ映画とか、ゾンビ映画とか、ホラー映画のちょっとした話

ものすごいどうでもいい話をします。
 
 
 
世の中に大変多くある、いわゆるゆかいなクオリティになっているサメ映画やゾンビ映画、ホラー映画など(ぼくはそういうのがとても好きです)に対して、世間では色々な見方や評価や感想が(基本的には非常に厳しいと言わざるを得ない)あると思うんですけど、そういったレビューや感想を読んでいる時に
 
レビューで☆1をつけてる人に対して「こんなパッと見てわかる明らかな地雷に対して何を期待して訪れたのか…?」となるし

☆2~☆4をつけてる人を見ると「この映画に“普通”…?それはちょっと物差しがおかしいのでは?」となるし

☆5をつけてる人を見ると「この映画に高評価?!ちょっとそれは頭がおかしいのではないですか!?」となるのですが、

 

じゃあどんな評価ならいいんだよ!という話になると、「それは…わからん…」

となりますよね(なりますよねではない)

 

 

 

 

結局のところぼくたち人類はZ級映画に弄ばれて、その掌の上から逃れることは出来ないのかもしれない…

【映画】ジェーン・ドウの解剖

シュークリーム食べたい…

 

食べたいので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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ジェーン・ドウの解剖

外見はきれいなままにも関わらず、灰の中だけが真っ黒に焼け焦げていたり、手足の骨がバッキバキに折れていたり、皮膚の内側に大量の刺青が彫られていたりと、とにかく不気味で不可解な損傷があちこちにみられる謎の遺体「ジェーン・ドウ」、検死官がその解剖を進めているうちに施設は突然の停電から始まり次々と怪現象に見舞われていく…というわくわく人体アドベンチャーです。

 

この不気味な遺体ジェーン・ドウがとんでもなく不気味でこわいんですけど、そのこわさも含めてとにかく、どこか美しいんですよね…遺体役の女性の作画が整っているせいで、よりいっそうこの遺体の「異常さ」が際立ち、謎めいた説得力を放っています。

この遺体ジェーン・ドウと、それに隠された数々の謎が、洋物ホラーよりもどちらかというと日本モノ的な感触を生み出している気がします(いまやこの和洋ホラーのカテゴリ分けも古くてナンセンスかもですが)

また、この映画の主人公である検死官の親子、この2人が非常に有能かつ精神的にしっかりしており怪異に対して正面から向き合うので、ホラーにありがちな煮え切らない行動によるストレスなくぼくらも映画に立ち向かいやすく出来ています。親子には是非がんばってほしい。

 

 

 クトゥルフ神話や怪談、海外のオカルトネタが好きな人ならば、無条件で楽しめると思います。特に、ホラー系のTRPGに触れる人ならさらに適性倍々という感じです。

不気味で怖くて良い映画なので、全人類と全死体観てほしいですね!

 

 

以下、例によってネタバレになるのでこちらに分けておきます

 

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【映画】シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~

亀田のわさび柿の種、気が狂いそうになるほどおいしい…

 

気が狂ったので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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「シェフ!〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜」

才能と能力自体は超一流だけど環境に合わせた妥協や周囲との協力が出来ない性格のためにその力を発揮できず燻っている「料理のできるダメ人間」と、超一流レストランで長年料理長を務めるもひどいマンネリに陥っている「超一流のボンクラ」が、そのお互いの異常に強い我によってガンガン衝突を繰り返しながら、最強のメニューを作り出して三ツ星審査員を倒す、ドタバタキッチンコメディです

 

ぼくはこういう「一芸だけは異常に秀でているけどその反動でたとえばほかの才能、社交性や人間性が台無しになってるダメ人間」がものすごく好きなので、この映画はたいへんツボだったりします。ジャン・レノもまたこの映画のような偏屈なロートルがすごく似合うんですよね。そんなやかましい性格の2人が自分たちの専門分野でドタバタコメディタッチでガンガン衝突するので、そりゃもう楽しくないわけがなかった…

 

物語の冒頭にはそこらじゅうにとっ散らかってたたくさんの厄介な材料が、最終的にひとつのお皿に盛りつけられた料理になるような、きれいに収束するストーリーと、

肩の力を抜いてラストまで一気に観られる気持ちの良い映画なので、全人類と全食材に観てほしいですね!

 

 

 以下ちょっとだけネタバレになる部分で大好きなシーンに触れてますので分けておきます

 

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【映画】ハードコア

モンスターエナジーパイプラインパンチ再販おめでとうございます。

 

うれしいので、面白かった映画の話をしたいと思います。

 

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「ハードコア」

 


技術の進んだ近未来世界、瀕死の重傷からサイボーグ化されて蘇った主人公ヘンリーが、誘拐された妻を救い出すため、悪の組織と戦う。謎の人物ジミーの協力のもとで次々に襲いくる敵戦闘員と激しい戦いを繰り広げ、文字通りボロ雑巾のようになりながら組織のボス、超能力者のエイカンに立ち向かうという、シンプルなサイバーアクションです。

 

この映画、ストーリーライン自体は非常に単純で、まさしく王道のアクション、ちょっと悪い言い方をしてしまうと「わりとよくある」お話なのですが、なんといっても全編「主人公の一人称視点」で繰り広げられる圧倒的な観応えと、それによる驚異的な映像体験が最大の特徴です。excitin'…

この映画では銃撃戦、格闘戦、チェイスシーン、パルクールと、とにかくアクション映画に必要なド派手な美味しいシーンがぜいたくなビュッフェスタイルでご用意されています。あまりに動きがド派手すぎて刺激の強い映像なので、人によっては激しく酔いそうな気がします。ふつうのアクション映画の3乗酔うので…そこは要注意ですね。

ご機嫌なロックナンバーをBGMにしたら全部爽やかになるとおもってるフシがありますが、そんなことはないので制作陣は反省してほしい

 

また、一人称視点故に一切画面に出ることのない主人公ヘンリーにかわって、大量の遠隔操作クローンに物を言わせてどんだけ殺されてもすぐに次が出てくるゆかいなお助けキャラのジミーと、卑劣で強くて異常に顔が良い敵組織ボスのエイカンと、メインキャラクターが非常に魅力的に描かれています。エイカン、めっちゃ顔が良くてクズなので最高。

 

「新体験のアクション映像をひたすら“魅せる”ために余分な要素を徹底的にそぎ落として作り出した、鍛え上げられた大剣のような、まさしくハードコア」な映画です。

全人類と全ゲーマーと全酔わない人観てほしいですね!

 

 

今回はネタバレというよりは見所だと思った場所の雑記ですが、一応おいしい所なので分けておきます。

 

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