最近ジムに通い始めました。
もはや筋肉の化身といっても差し支えないので、面白かった映画の話をしたいと思います。
「アップグレード」
犯罪者に襲われ大事故にあい、最愛の妻を喪い自分も全身マヒ状態になってしまった主人公。失意の中で知人に紹介された違法AI「STEM」を埋め込まれたことにより四肢の自由(といってもその主導権はSTEMにあるのですが)を手に入れ、頭の中でサポートをするSTEMとともに妻の、そして自分自身の復讐のために仇を探して大暴れするお話です。
まず、主人公の四肢が自身の操作ではなくAIに動かされているという演技、動きがものすごい気持ち悪くて、人間の想定するものではない、「機械が考える最適化された動き」という描写の説得力がすごい…その不気味な動きで行われる格闘シーンがめちゃくちゃ面白いのですよね。それ以外にも、要所要所で登場する「ちょっと未来のテクノロジー」の塩梅がこの映画のじっとりとした、地に足の着いたSF感と、陰や湿り気のあるサイバーパンク感!すき!
ちょっと融通が利かないAIと、復讐する以外にやることが無くなってしまった主人公が対話しながら目的に向かって駆け抜ける、かなり歪なバディ・ムービーともいえるかもしれません。この組み合わせと会話のギクシャク感が何とも言えず、魅力満載です。
全体的に空気は陰鬱で薄暗く、ハイテンションな作品では決してないのですが、近未来、サイバーパンクが大好きな脳内の男の子も、サスペンスが大好きな脳内の男の子も、もちろん女の子も大満足できるいい映画なので、全人類観てほしい…
以下ラストに少し言及するので分けておきます。
この映画の結末は、「STEMが主人公を『妻と暮らす幸せな夢の世界』に閉じ込めて肉体の主導権を完全に奪う、最初からそれが目的だった」というものなのですが…
このラストシーン考えた人は人間の心がない(ブチギレ)
なにがつらいって、主人公の視点だけ見ればそれはこの上なく幸せな結末である、といういわゆる「メリーバッド」な点ですよね。
脳からの信号を受信して動かせる義肢も開発されている昨今なので、近い未来神経や思考と接続したAIやコンピュータが出てきても不思議ではないのですが、自我を持ってしまった彼らのその最終目的は…と考えると怖気が走りますね…